2021.03.10実施 大阪府立高校入試 最終競争倍率

教育ニュース

先週3月5日(金)に大阪府立高校の出願が締め切られ、
翌3月6日(土)に競争倍率が発表されました。
出願状況を確認しながら、元塾運営者として
近年の大阪の高校入試の傾向を勝手に述べてみたいと思います。



  最終競争倍率はこうなりました!




<コメント>

まず、色分けについて説明します。

競争倍率1.40倍以上の学校は
セルをあずき色に塗りつぶし、字を白抜きにしてい。
競争率1.50倍以上の学校は、
セルを赤色に塗りつぶし、字を白抜きにしています。
※春日丘高校だけ競争倍率が1.7倍を超える倍率だったので、
セルを色塗りせず、字を赤抜きにしました。
また、競争倍率1.0倍を下回る高校は、
セルを黄色に塗りつぶし、字は黒のままで載せました。

  定員割れの高校がこんなにも!

締め切った後ですから
今年は2次募集の府立高校がたくさん出そうな感じです。
近年、専門科の高校は、なかなか定員通りに集まってこないのですが、
完全に無くすというのは教育としてはどうなの?という気がします。
しかし、少子化の波はまだまだ続きますし、
私立高校へ進学する子どもも増えているのは事実です。
もうしばらく府立高校の統廃合は続くようです。
詳しくは、
大阪府立高等学校・大阪市立高等学校再編整備計画(2019年度から2023年度まで) [PDFファイル/374KB]
をご覧ください。見本

  定員割れ高校に思うこと

この出願状況を見て思うこと、
いわゆる偏差値でランク付けした場合の
上位校は競争倍率が高く、下位校は定員割れが多く、
という傾向になってきています。
この傾向は今年だけというわけではなく
ここ近年ずーっと見られる傾向です。
なぜこういう傾向になってきているのか?

その原因の一因が
「私立高校の授業料無償化」
です。
世帯の年収次第では、本当に公立高校並みの金額で
私立高校に通わせることが可能なシステムなのですが、
このシステムのおかげで私立高校に専願で入学する子どもが
増えているのは事実です。
このシステムについて詳しくは、

をご覧ください。この私立専願者の増加の背景に
「大学入学」
がちらついています。
親御様ともいろいろ話をしてきましたが、
進路を決める話の時によく出てくるのがこの私立助成金の話です。
助成金のおかげで「大金」を払わずとも私立高校に通える時代になって
大学進学状況を考えたら、公立高校よりも私立高校の方が
何かと面倒を見てもらえる、という風潮があります。
私の実体験ですが、
某私立高校の3年生と某公立高校3年生が
同じ大学の同じ学部のAO入試を受験しました。
偏差レベルで言うと公立高校の方が上なのですが、
合格したのは私立高校の3年生の方でした。
この時に思ったことは、私立高校の方が
何かと先生と生徒のコミュニケーションがとれていたこと、
公立高校も全くコミュニケーションが
とれていなかったわけではなかったのですが
先生の進路指導内容にはちょっと不満が残る内容でした。

とにかく猫も杓子も大学へ
という時代になっています。
大学進学率も今から30年ほど前は
高校を卒業する生徒の30%ほどが大学進学していましたが、
近年は当時の倍の約60%が大学進学する時代です。
高校卒業して就職する生徒の方が稀になってきています。
工業系や商業系の高校も、先出の高校改革のPDFを見てもらうと
わかるように、高校大学連携の学科を整備したりして
工業・商業の高校からも大学へ進学する時代になっています。
この傾向がますます、低偏差値公立高校への進学人気をなくしている
と私は感じています。

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  統廃合高校が統廃合候補に

公立高校の統廃合がこれまでたくさん行われてきました。
2校の学校を統廃合して名前を改めて・・・
という高校はこれまで結構あります。
その中で、統廃合し名前も変わった学校で
今回、定員割れしている高校は、
普通科では
かわち野高校(2006年4月、加納高校と盾津高校の合併)
八尾翠翔高校(2004年4月、八尾東高校と八尾南高校の合併)
懐風館高校(2011年4月、羽曳野高校と西浦高校の合併)
懐風館高校は、ここ数年、定員を満たした年があったっけ?
というくらい倍率1を割り込んでいるイメージが強い学校です。
これがまた統廃合の危機に面しているとは・・・。
総合学科では
大正白陵高校(2020年4月、泉尾高校と大正高校の合併)
成美高校(2005年4月、上神谷高校と美木多高校の合併)

これらの学校が毎年統廃合の危機というわけではないのですが、
統廃合して学校を減らしているにもかかわらず、
またその学校を必要としない状況が続く。
こんないたちごっこがこの先も続くのでしょうか?

別に人気が無いわけではないのです。
ただ、低偏差値の高校に進学するくらいなら
少々お金を出してでも大学進学が望める私立高校へ
という考え方が浸透してきてる証拠なのでしょう。
ただ、中には私立に通わせるお金がない、とタカをくくって
何が何でも公立高校へ、というご家庭もあることは事実です。
この「猫も杓子も大学進学」時代になって
もっと大事にしないといけないものがなくなったような気がします。
それは何?と言われても
はっきりと「これ!」ってものが何のですが・・・。本

  その進路選択でいいのか?

塾で進路指導をしていたころ、
「本当にその学校でいいのか?」
という進学を考えている生徒が毎年数人いました。
どういう進学かというと、
公立高校に不合格になっても
併願私立高校で偏差レベルで同じレベルの高校に
進学してるなら、公立はちょっと偏差レベル上位の学校を
受験してみたら?
という進学の考え方です。
240人が定員の学校で、240番に近い順位で合格したとしても
その後、この生徒はついていくのが必死で
クラブどころじゃない状況になります。
客観論ではなく、私の実体験論です。
これまで千数百人もの中3生の高校受験に携わってきましたが、
実体験で、このような進路指導をしたこともあります。
これが原因でせっかく入学した高校をやめた生徒もいました。
どうしても学校の授業についていけないので塾に戻ってきた
という生徒も多数ですが、最下位に近いレベルで合格した生徒には
学習内容がきつすぎるんですね。
大学進学も視野に入れているので、最後は親御様が必死になられて
ご自分で進路資料を取り揃えて親の決めた大学へ一緒に行って
「ここにしとき」
みたいな感じで進路を決める。
今、幸せな生活を送ってるんやろうか・・・。
全く音沙汰もないのでわかりません。

逆のパターンもありました。
上位10位以内に入る成績で合格したパターンです。
一例ですが、
偏差49くらいの生徒が偏差45くらいの高校に進学した例です。
最終的に、この生徒は学年1位になって
産近甲龍レベルの大学へ進学を決めました。

要は、
高校で習う内容をしっかり時間かけて理解する
ことが大事なのだとその時に知りました。
それ以降は、「適材適所」ならぬ、
「適学適校」みたいな進路指導を実施してきました。

  まとめ

大阪の府立高校入試は
3月10日(木)です!

最終倍率が発表になりました。
定員割れの学校が多い中、
偏差値上位の学校は競争率が増しています。
近年の「大学進学」熱による
私立高校専願率の高さが如実に表れた結果だと思います。

学校の統廃合もこの先まだ続きます。
統廃合で学校を減らしたにもかかわらず、
その統廃合の学校が更に統廃合の危機に直面しています。

大学進学のために高校を選ぶよりも
自分の学力を見極めて
自分の学力に合う学校へ進学すべきだと
私は考えています。

もし、この記事を読んでおられるのが、
進路指導に携わる方ならば、
是非この本をお手元に一冊おいてください。
必ず役に立ちます!
高校・大学の進路指導・就職担当者のための
「進路指導・就職支援」のためのガイドブックです。
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