オンライン学習 明と暗

映像授業

  オンライン学習の時代到来

2020年。高校終始本番を迎えつつあった日本において、それは突然やってきました。「COVID-19(新型コロナウイルス感染症)」2月はまだ「対岸の火事」のような感じで、私も傍観していましたが、いざ日本にも感染者が現れると事態は一転。あれよあれよという間に感染者が拡大し、3月に入ってすぐに日本政府は全国の小中高校に「休校」するように要請。都道府県知事、教育委員会は、国の要請に基づいて休校を開始。すぐに治まるのだろうと思っていたが、全世界的に広がり、感染者が鼠算式に増え続け、日本もとてつもない大打撃を受けました。私が勤務する学習塾も3月は普通に授業を行っていましたが、4月になって国から企業に対して「休業要請」が出されてから、教室には受講生の姿が消えました。当然私も仕事がなくなったことは言うまでもありません。

いつまでこんな状態が続くんだろうか?4月中旬ころまで自宅待機状態が続きましたが、学習塾から連絡があり、「オンライン」で授業を行うので担当講師をやってくれないか、という話でした。「休業要請」に「stay home」が叫ばれている中、わざわざ自分の通っていた教室まで出向いてオンライン授業を行う、ということには当初戸惑いもありました。そんな中いざ電車に乗ってバスにも乗って教室に行きましたが、電車もバスも空席ばかり。逆に電車に乗っている人は一体どこへ行くの?と尋ねたいくらい車内は2~3人だけ乗車という状況でした。

「これでオンラインの双方向授業をやってほしいんです。」教室長はそういって、教室備え付けのタブレットを私に手渡しました。そのタブレットには、今では誰もが知っている「z」で始まるアプリがインストールされていました。指導する前に研修するから・・・ということで2時間ほど使い方や機能について説明を受けました。私の通っている教室の長は、IT機器に明るい方なのでいろいろなことを教えてくれました。ただ、使ったこともないものなので説明だけされても、それよするとどうなるのかがわからず途方に暮れておりますと、長は「実際に使ってみましょう」といっていきなり実践練習を始めました。画面共有、ホワイトボード、指導の質を決める内容なのでしっかり使えるように!と念を押されて必死で使えるように練習しました。

2時間も使い続けて、何をどうすればどうなるのか、をやり続けるとある程度使えるようになりました。「それじゃぁ、いよいよ指導(始動)になります!よろしくお願いします!」と長はそう我々数人の集まった講師に声をかけ、一人一人に部屋一室をあてがう、もしくは接触しないような座席配列になっている部屋へ案内された。部屋には換気扇があるので常に回りっぱなし。部屋の窓も全開で、4月下旬とはいえ寒い日もあり、冷たい風にさらされながらしかも部屋は暖房を入れているという異様な光景で授業は始まりました。

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  やってみた感想

初めての授業は小学5年生のマンツーマン算数授業。講師用のテキストを用意して、当然解答も用意して対応できるように準備は万全の状態で臨みました。保護者様がオンライン接続に協力してくださったので接続に時間はかかりませんでした。また、保護者様が常に受講生の隣りにつきっきりだったので、こちらがやったことは
① 問題の解き方のレクチャー
② 練習問題を解くように指示
③ ○付けをした後の間違い個所を探すように指示。
④ 宿題の指示
以上の4点くらいでしょうか。特に、②と③を見る役目として我々講師がいるようなものなのですが、これを保護者様がやって下さったわけです。複雑な思いで指導をしたことを今も思い出します。それがあったからこそ「明と暗」の部分をお伝えしたいと思ったのかもしれません。

この時に思ったこと。
① 我々が本来すべきことを保護者様がやって下さる。有難い。
② ということは、別に私いらないんじゃないの?
③ 授業料を返せ!って言われたらどうしよう・・・
最初の30分くらいは、「楽勝!楽勝!」と思いながらやっていたのに、時間が進むにつれて「やばい、やばい」と気持ちがどんどん沈み気味に。

研修の時に教えてもらったことをふっと思い出しました。画面共有で、画面に書き込みができるという話を。「これだ!」ひらめいたらすぐ行動。「一度ここまで勉強した内容をテストしてみましょうか。」そういうと私はホワイトボード共有を実行し、そこへ2問の問題を書きました。ここでも私は失敗しました。
① 相手の接続端末は何かを確認せずに画面共有を実施した
② 端末のスペックを確認しなかった。
授業後に知ったことですが、この時、保護者が機転を利かせて、アップル社のタブレットを使って接続してくださっていたので、画面は大きく見やすかったようで、タッチペンこそ無かったのですが、指で式を書いて計算して答えを書いていたそうでした。

その後、高校生の英語の集団形式の授業を行いました。指導内容は以下の通りです。
① 音声(音読)指導。
② 文法指導
③ 長文読解指導
④ リスニング指導
以上の4内容です。

<音読練習>
これも画面共有で音声も共有できると研修を受けたので、さっそくそれを使って見ました。音はしっかり伝わったようですが、ここでも落とし穴がありました。全員の声がそろわない。それで音源で音を流した後に「はい」という合いの手を入れることにしました。「これならまあある程度揃うだろう」そう思っていた私は見事に裏切られました。これまた全員の声がそろわないのです。後になって、私も自前のタブレットにこのアプリをインストールして実際に使ってみると、音声が届くまでにタイムラグがあることがわかりました。勝手な想像なので本当かどうかわかりませんが、端末の性能や、ネット回線の速さにもよるのではないかと思っています。結局全員ミュート解除で音読させると無茶苦茶になってしまうことに気づいて、解消方法はないものか・・・悩んだ挙句、編み出した方法が「全員ミュートでランダムに一人だけ勝手にミュート解除」という手段です。誰のミュートを解除するのかわからない状態なので、声を出していない時にたまたまミュートを解除されるとバレるという罰ゲーム感が漂う方法でしたが、まじめな生徒が多いおかげでその不安はありませんでした。

<文法指導>
指導中はほぼホワイトボードモードで、右下に受講生の顔が数人映る、という状態で行いました。タッチペンでの指導は初めての経験で、字の色も変えたりして指導をしましたが、慣れるまでに時間がかかりましたが、最近では慣れてきました。テキストを使っての指導なので、指導においては別段問題ありませんでしたが、小学生同様、練習問題を解いている時の様子がわからないのが私にとっては不安材料でしかなかったです。それに、授業回数が増えるにつれて、カメラOFFで参加する生徒が増え、益々何をしているのか見えない状況でした。

<長文指導>
ホワイトボードモードで文章を書いて指導していましたが、何回か指導しているうちに気づきました。文章を一文ずつマイクロソフト社の「W」で始まるソフトを使って記述し、Adbe社の「P」で始まる形式のファイルに変換し、それを画面共有して画面に書き込みをしながら授業を行いました。実はここでも失敗がありました。それは、ファイルをスクロールしたら、画面に書き込んだ内容がそのまま残っているということでした。私の勝手な勘違いというか思い込みだったんですが、共有した文書ファイルに書き込んだつもりが、単に画面上にお絵かきしたような感じ、とでもいいましょうか、問題解説が終わって画面をスクロールするたびに、画面に書き込んだ内容を消去し、新たな文章の解説を書いてスクロールしては消しの繰り返し。大事なことは逆スクロールしてもう一度映したいと思う場面もありましたが、消しているのでそれもかなわず、また書き込んで消す、本当に悪循環でした。そこから考えたのは、シートを縦置きではなく横置きにして、2段組にし、段落ごとに文章を書写して解説をするという作戦に変更しました。今のところ不便なことは無いのですが、それでも画面書き込みは相変わらず消去せざるを得ない状況です。

<リスニング指導>
唯一成功しているのはこれだけでしょうか。ただ「成功」という二文字を使いましたが、「これって先生いる?」という状況ですね。リスニング指導の流れは、
① 音源を画面共有で流す。
② 聞き取ったら手元のテキストに答えを書き込ませる。
③ すべて問題を解き終えたら答え合わせを各自でさせる。
④ 何を言っていたのか、音源の元の英文を確認させる。
⑤ もう一回確認で元の英文を見ながら音源を流して確認する。
先生いります?しかも、この教材にはCDが附属でついているので自宅で自分でCD聞いて練習できるようになっています。先生いります?

  明の部分

オンライン指導を実際に経験してみて感じた「明」の部分は、

① 塾に行かなくて済む
今回はコロナ禍で外出禁止だったので重宝しましたが、雨降りの日で塾に行き辛い日でもオンラインだと指導可能なのでいいなあと思いました。

② 保護者との面談(保護者懇談)もオンラインで出来る
この仕事は本来私の仕事ではないのですが、1人だけどうしても面談を行う場合は私を指名される保護者がいらっしゃいます。今回オンラインで懇談を実施させていただきました。お見せする資料は画面共有できるようにタブレットへ取り込みをしました。紙ベースの現物は郵送するとお伝えすると、「データでもらえないか?」というご相談が出てうかつに「いいですよ」とも言えませんので教室長に相談すると、それもグレーと言われて、会社に相談してもらうと、結果はダメでした。紙はいいのにデータはダメなんだ・・・。

う~ん・・・このほかに受講する側(客側)にとって「明」の部分があったかなぁ?やる側から見たら「暗」の部分だけがどんどん浮き彫りになっていくのを感じました。実際に保護者からは、「これで月謝は同じ金額なんですか?」と聞かれたこともありました。恐らく指導の質をご覧になられていたんでしょうね。ますます「暗」の部分だけ膨らんでいきました。

  暗の部分

オンライン指導を実際に経験してみて感じた「暗」の部分は、

① 宿題の出来を確認できない
特に集団型の指導を行った場合、一人一人の宿題チェックを行うとほぼ授業時間が無くなるかもしれない。簡易的にカメラにやっているところを見せてもらうが、本当に宿題の箇所なのかどうかまで確認できない。

これを解決するために何か方法はないかと考えた末にたどり着いたのが、やった場所を写真に撮って、メールで送信させるという方法。最初は、授業当日に送ってもらっていたが、後手に回るので、宿題当日の前日までに送信するように指示を出して、何とか出来栄えの確認を行えるようになりました。
※ただし、教室長からそのやり方はグレーと注意されて、現在会社に許可を取ってもらっている状況。

② 宿題のチェックテストを実施できない
宿題をやってきたのであれば、どこまでできているのかをチェックするテストを実施するのが塾の使命でもあります。そのテストを実施しようと思うと、どうしても「紙」ベースで実施せざるを得ない状況です。だからといって実施するテストを事前に自宅に送るわけにもいかないし・・・。

これを解決するためにやったことは、「W」のソフトを使って問題を作成し、それを画面共有で全員に見えるようにして、問題を写し取ってもらってテストを実施しました。最初10問くらいなら10分ないし15分もあれば出来るだろうと思っていましたが、先出の通りで、スマホなど画面の小さな端末で参加している生徒は見づらいので書き写しも時間がかかり結局30分近くかかってしまいました。

結局、10問テストを5問まで減らして、採点までやり終えて10分という時間で終わらせるに至りました。

③ 画面をOFFにする生徒が増えてくる
これは一概に受講生が悪いとも言えない部分があります。自宅といえども無線LANが整っていない家もありました。パケット数を出来るだけ減らすために動画をOFFにせざるを得ない、そういう家があるということを我々は想定もしていなかったということです。この事例を除けば、なぜ映像をOFFにするのかよくわかりませんが、事情を聴いてみると「部屋を見られたくない(女生徒)」や、「参加者の顔を見ることが出来るから見られたくない」という意見があり、映像OFFというのが現状のようでした。「Z」のアプリの設定で何とかならないのかと思って色々調べましたがどうしようもないようです。この画面OFFをクリアする術はいまだに見つかっておりません。無理やり「ONにしなさい。」では反発を招くだけですからね。

④ いい加減なことは言えない
保護者の目があるからです。高校生になるとさすがに保護者はのぞき込んでくることはありませんが、中学生は保護者が一緒に見ている場合があります。実は、私自身、やらかしてしまったんです。歴史の指導をしている時に、いい加減なことを言ったために教室長に直接保護者から電話が入って「いい加減なことを教える人なんですか?」とまで言われてしまいました。

⑤ 学校の問題集や生徒自身の問題集の質問を受けづらい
対面型であれば、受講生が持ち込んできた学校の問題集の質問をサラサラっと受けていたのですが、オンラインでそれをやろうと思っても、当初は四苦八苦しながらの対応でした。それも問題を写真で撮影してメールで送ってもらうことで解決できていたのですが、教室長から注意を受け現在メール受付は行っていません。

  興味がおありでしたら資料請求ください

ここまでオンライン指導を行った実際の経験談をお話ししましたが、それでも一度オンラインで指導を受けてみようと思われたら、一度オンライン家庭教師をご検討ください。塾のオンライン授業は、専業でやっていないのでやはり専業でやっている業者よりも劣るように思います。

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